映画『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが語る、声の出ない女性とモンスターの愛
2023-08-29
ギレルモデルトロ最新作『シェイプオブウォーター』が、2018年3月1日(木)より全国公開される。ヴェネツィア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞、アカデミー賞では作品賞、監督賞などを受賞した作品だ。
孤独な女性と不思議な生物の“愛”を描く大人のファンタジーロマンス
『シェイプオブウォーター』は、過去のトラウマで声を出すことができない一人の孤独な女性と、水の中で生きる、それはまるで半魚人のような不思議な生物との言葉を超えた“愛”を描いた”、一筋縄ではいかないお話。王道から見れば一種のアンチテーゼとも言える、”大人”のファンタジーロマンス作品だ。それは切なくも愛おしい。
監督はギレルモデルトロ

映画の公開を前に来日したギレルモデルトロに『シェイプオブウォーター』に関して話を聞いた。なお、後に、ギレルモデルトロはこの映画でアカデミー作品賞(プロデューサーとして)、監督賞の2部門を受賞している。
ファンタジー(おとぎ話)を題材にしました。
ファンタジーでしか表現できない美しさがあると思っています。そして、それがもたらす物語のメッセージ性や詩的な意味での力強さを私は信じてます。
今、ファンタジーで描こうと思ったきっかけは?
愛、価値観、よそ者、異種に恐れている時代に、この物語が必要だと思いました。今日における思想として、他のものを信用するな、恐れろ…というものがありますね。
おそらく現代の設定では、世間の人は聞いてくれない。ですから、それを”声の出せない女性”と”不思議な生物”に置き換えておとぎ話としました。
時代背景に込めた意味についてお聞かせください。
アメリカが偉大になりつつあった時代が1962年。非常に裕福、宇宙に目が向いて、将来に希望があり、ケネディもホワイトハウスにいて。でも一方で、冷戦、差別などもあった時代。愛や感情への考え方が複雑で困難だった時代です。現代と1962年を似た時代のように捉えています。この時代をおとぎ話として語れば人は耳を傾けてくれるんじゃないか…と思いました。1962年にこんな話があった…というように。
映画という意味でも、今と1962年は似ている。今、映画は衰退しています。実は、1962年もテレビの影響で映画が衰退した時代。そういう背景から、映画に対する愛をこめて描いた作品です。

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