銀座メゾンエルメス フォーラムの展覧会「転移のすがた」“共鳴”する現代アーティストたちの芸術的感性
2023-12-22
エルメス(HERMÈS)が展開する銀座メゾンエルメス フォーラムでは、アーティストレジデンシー10周年記念展「転移のすがた」を、2021年12月17日(金)から2022年4月3日(日)まで開催する。
アーティストとメンターの“共鳴”関係に着目

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
アーティストをエルメスの工房に招聘し、職人と共同制作などを行うプログラム「アーティストレジデンシー」。2010年より継続して開催されている同プログラムでは、現在までに34人のアーティストが21の工房に滞在し、皮革やシルク、クリスタル、シルバーなどのさまざまな素材を使用して、職人技術にふれつつ作品を生みだしてきた。

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
「アーティストレジデンシー」の10周年を記念して開催される展覧会「転移のすがた」では、3組の滞在アーティストとそのメンター=推薦者の関係性に着目し、かれらの作品のあいだに見て取ることができる共鳴や、ある種の共犯関係に光をあてる。
3組の滞在アーティストとメンターが出品
本展に出品するのは、2020年から翌年にかけてプログラムに参加したクロエケナムとメンターのイザベルコルナロ、エンツォミアネスとメンターのミシェルブラジー、そしてフランス在住の小平篤乃生とメンターのジュゼッペペノーネ。

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
クロエケナムは、さまざまな背景や文化に由来するグラフィックや言語などを、別の文脈に置き直すことによる効果と可能性を探っている。一方でメンターのイザベルコルナロは、象徴的潜在的情動的な価値が染み付いたファウンドオブジェクトを用いつつ、オブジェとそのイメージの関係性を探り、新たな構築を試みてきた。

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
また、エンツォミアネスは、私生活の断片や日常にありふれたものを通じて「生命」を表現するインスタレーションや彫刻作品を展開。そのメンターのミシェルブラジーは、ユーモアと詩情を交錯させつつ、自然とテクノロジー、有機物と人工物といった相反するものを調和させるビオトープを提案している。

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
さらに小平篤乃生は、「あらゆるメディアや歴史は緩やかに絶え間なく繋がっている」という考えに基づき、考古学とは異なる視座から歴史を捉え、国家成立以前の人間の営みや自然との共存に着目した作品を制作。一方でメンターのジュゼッペペノーネは、イタリアの「アルテポーヴェラ(貧しい芸術)」を代表する彫刻家であり、彫刻について、そして彫刻人間自然の関係について問いかける作品を手がけてきた。
アーティストたちの不思議な連鎖

©Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès
本展では、「アーティストレジデンシー」でアーティストが制作した作品に加えて、滞在アーティストとメンターそれぞれの作品を一望できる展示を展開。かれらの師弟関係のみならず、素材を扱う手つきや問題意識といった芸術的感性の応答にもふれることができそうだ。
展覧会概要
アーティストレジデンシー10周年記念展「転移のすがた」
会期:2021年12月17日(金) 2022年4月3日(日)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 89階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
開館時間:11:00 19:00(入場は閉場30分前まで)
※不定休(基本的にはエルメス銀座店の営業に準ずるが、開館日と開館時間の最新情報についてはギャラリーのウェブサイトを確認のこと)
入場料:無料
■出品アーティスト(括弧内はメンター)
クロエケナム(イザベルコルナロ)、エンツォミアネス(ミシェルブラジー)、小平篤乃生(ジュゼッペペノーネ)
【問い合わせ先】
銀座メゾンエルメス フォーラム
TEL:03-3569-3300
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